シニア世代最大の不労所得?知っておきたい相続の知識
遺産相続とは、人がお亡くなりになった場合に、その人が有していた全ての財産上の権利義務を、一定の身分関係にある人が継承することです。
シニア世代にとって最大の不労所得ともいわれており、今後の人生設計に大きく関わってくる場合もあります。
この記事では、もしものときに余裕をもって対処できるよう誰もが一度は経験する相続の知識をご紹介します。
目次
この記事のポイント
- 相続の基礎知識をご説明
- 相続を円満に済ませるコツをご紹介
- 遺産分割協議書など、相続手続きに必要な書類の作成法を解説
人生100年時代 定年退職後に迎える相続
そもそも相続とは何?どのような手順で進むのかご説明します。また相続では膨大な書類を用意しますので、必要書類についてもご紹介します。
相続の基礎知識を知り、来る相続に備えましょう。
順番にご説明します。
そもそも相続とは
遺産相続とは、人が亡くなった場合に、その人が有していた全ての財産上の権利義務を、一定の身分関係にある人が継承することをいいます。
亡くなった人を被相続人といい、財産を継承する人を相続人といいます。
相続は、被相続人が亡くなった時に開始します(民法882条)。
誰が相続人になるかは、民法で以下のように順番が決められております。
- 常 に:配偶者
- 第1位:子 ※
- 第2位:親
- 第3位:兄弟姉妹 ※
※ 相続人にあたる子や兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子(被相続人からみた孫や甥・姪)が相続人となります。これを代襲相続といいます。
被相続人が結婚なさっている方であれば、配偶者は必ず相続人になります。
さらに被相続人に、お子さんとご両親とご兄弟がいらした場合、
子→親→兄弟の順番で相続人になります。
子、 親、兄弟が、同時に相続人になることはありません。
次に相続財産についてご説明します。
相続相続というと、お金になる財産を受け継ぐことをイメージしますが、これらプラスの財産の他、マイナスの財産も含まれますのでご注意ください。
プラスの相続財産、マイナスの財産にはそれぞれ下記のものが含まれます。
プラスの財産
- 不動産(宅地・建物・農地・山林・借地権・借家権など)
- 金融資産(預貯金・有価証券など)
- 自動車・船舶
- 価値のある美術品や宝飾品
- その他家財一式
- 貸付金・売掛金
マイナスの財産
- 借金(ローンなど)
- 未払金(未引落の公共料金・未清算の入院費用・家賃など)
- 未納の税金(所得税・住民税・固定資産税など)
相続手続きの流れ
相続人と相続財産が揃ったら、誰が何を相続するかを話し合うところから相続手続きはスタートします。
この話し合いを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議には相続人がもれなく全員参加し、合意する必要があります。
多数決で決めることはできません。
なお、故人が遺言書を遺されていた場合は、遺産分割協議は不要で、遺言書をもとに、直接名義変更手続きに入ることができます。
遺産分割協議で分割の目安となるのは次の法定相続分です。
相続人が複数いる場合に、各相続人の間で財産が公平に承継されるように民法で次のとおりに法定相続分が決められているのです。
- 配偶者+子 : 配偶者1/2 子1/2
- 配偶者+親 : 配偶者2/3 親1/3
- 配偶者+兄弟姉妹 : 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4
しかし遺産分割協議では、この法定相続分通りに遺産を分ける必要はありません。
相続人全員が合意することで、法定相続分と異なる割合で遺産を分けることができます。
相続人の皆さまには様々なご事情があるでしょう。皆さまが納得できる分け方が理想です。
逆にここで話がまとまらないと、いわゆる“争族”となってしまいます。
遺産分割協議で遺産の分け方で合意ができたら、合意内容を遺産分割協議書に記します。
遺産分割協議書が用意できたら、法務局や銀行の窓口に持っていき、名義変更や解約の手続をします。
相続税の申告が必要な場合は、税理士に頼んで申告書を用意し、相続税を納めます。
相続手続きの必要書類
戸籍
相続の当事者である皆さんは、誰が相続人であるか当然ご承知です。
しかし、金融機関や法務局の担当者は知りません。
そこで戸籍の記載で確かめる必要があります。
そのため、誰が相続人であるかを明らかにするため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要となります。
被相続人が80代の方の場合は、結婚歴が1回、本籍地を変更していない場合でも、昭和と平成に1回ずつ戸籍の改製も経ているため、
①出生②昭和の改製③結婚④平成の改製
と、最少でも4種類の戸籍が必要となります。
相続人全員の現在の戸籍も必要です。
印鑑証明書・住民票
遺産分割協議書には相続人全員が実印で捺印します。
そのため実印であることを証明する印鑑証明書も必要となります。
ご遺産に不動産が含まれている場合は、不動産を相続する方の住民票(本籍地入り)が必要です。
遺産分割協議書
相続人皆さんの話合い(遺産分割協議)の結論は、遺産分割協議書という文書にまとめます。
遺産分割協議書は書き方が厳密に決められているわけではありません。
一般的には以下の項目を記載します。
- 被相続人(亡くなった方)の氏名
- 死亡日
- 最後の住所、本籍
- 誰が何を相続するか
- 相続人全員で話し合って合意した旨
- 作成年月日
- 相続人全員の署名捺印(実印)
遺産分割協議書の見本はこちらのページでさまざまなパターンをご紹介しております。
参考になさってください。
シニア世代の相続を円満・円滑にすすめるには
相続手続きは暮らしのさまざまな事務手続きの中でも特に作業量が多いため、不公平感が生まれやすく、トラブルを招きやすい手続きといえます。
当事者のみで進めることに不安がある場合は、専門家に相談しましょう。
協議書作成の際は、内輪の実情など、話にくい内容を伝えなくてはならない場合も少なくありません。
本当のことを安心して話すことができる、信頼できる専門家を選びましょう。
当事者のみで手続きを行う場合は、信頼関係を大切に、慎重に対応することが大切です。
相続はとてもデリケートです。
ちょっとした行き違いからトラブルになってしまい、こじれると家庭裁判所の調停で遺産を分けることになりかねませんのでご注意ください。
相続で余計なストレスをかかえないよう、備えておきましょう
遺産相続は、いつまでに手続きを終えなくてはならないか、決まりは特にありません。
ただ相続税が課税される場合は、基本的に相続開始(被相続人の死亡を知った日)の翌日から10か月以内に相続税の申告をしなくてはならないため、それまでに遺産分割協議を終えている必要があります。
したがってこの相続税の申告期限が一つの目安といえます。
また令和6年4月からは相続登記も義務化されますので、相続財産に不動産が含まれる場合も期限に注意が必要です。
段取りよく期限内に手続きを終えられるよう、大まかな流れや必要書類などをチェックしておきましょう。
相続を上手く乗り越えたら暮らしの再設計をしましょう
まとめ
このように相続手続きでは知っておくべきことが沢山あります。
そのためいろいろ調べている相続人と、そうでない相続人との間で知識に違いが生じる傾向があります。
また手続き負担も大きいため不公平感も生まれやすく、トラブルを招きやすい手続きといえます。
当事者のみで手続きを行う場合は、信頼関係を大切に、慎重に対応することが大切です。
相続はとてもデリケートです。
ちょっとした行き違いからトラブルになってしまい、こじれると家庭裁判所の調停で遺産を分けることになりかねませんので注意が必要です。
相続の基礎知識で円満・円滑に手続きを済ませ、定年後の暮らしに備えましょう。
サイト運営者の株式会社グレイスサポート松下愛と申します。本業は行政書士法人松下崎山事務所の代表行政書士として、遺言・終活のコンサルティングを行っております(終活公式ウェブサイト:https://www.aimats-gracesupport.jp/)。
日々シニアのお客様とお話させていただき、私自身多くを学ばせていただいております。シニア世代の方々のお話を伺うと、皆様とてもアクティブで、お気持ちは若い頃と多分変わらない。そんなアクティブなシニア方々にとって最も大切なことは、無理のない範囲で仕事を持ち社会との接点を保ち続けることなのではないかと感じました。人は生きていくうえで、自分は誰かに必要とされている、誰かの役に立っているという思いを持ち続けることはとても大切なのではないでしょうか。
少子高齢化今の時代、終活対策はもちろん不可欠です。しかし終活は人生後半を充実させるための備えの一つにすぎません。これまでの豊かな経験を活かして仕事を持ち、誰かの役に立って感謝され、そのことで収入を得て消費も楽しむ。このような循環の中に生きることが大切なのではないでしょうか。シニアの方にもいつまでも元気でお仕事をもっていただきたい。そんな思いから、『シニアのお仕事|60歳からの副業ナビサイト』を立ち上げました。
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